2008年5月20日

隈研吾の京都造形大学至誠館

隈研吾建築都市設計事務所が設計した京都造形大学至誠館が竣工しています。
隈さん得意の建築言語であるルーバーが外壁面に使われていますが、
今回はかなり大振りな石材で重厚感を持たせつつ、
繊細にも見えるような不思議な風合いに仕上がっています。

一般に、縦方向のルーバーの役割は西日避けとして
言説されることが多いと思いますが、
近年では窓の無い部分の表層材として用いられる事も多くなっています。
これは鉛直方向性の強調、リズムやスケール感の表出などに貢献するものです。


表層材として見せるルーバーは縦方向が基本になります。
簡潔に理由を述べれば、雨や重力と方向性を持った部材との関係性です。
重力と直行する横方向にルーバーを走らせると汚れやすく、
経年時の見栄えがあまり良く無いと言えます。

果敢にも表層材として横ルーバーを用いられている事例も散見されますが、
これは、という使われ方はまだ見た事が無いように思います。


作品に戻ると、造形大学という背景から、
まずは塑性やダイナミズムに着想したと考えられます。
そこにもう一点、恣意的に映らない造作にしたところに時代性を感じます。
一通りの解釈しかないような押し付けがましい建築にならなかった所が、
この建築の最大の焦点ではないかと思います。

2008年5月 9日

西沢立衛の十和田市現代美術館

西沢立衛建築設計事務所が設計した十和田市現代美術館が竣工しています。
この美術館は、西沢立衛、アトリエ・ワン、乾久美子、ヨコミゾマコト、藤本壮介の
指名コンペの末に計画、施工されたものです。

結果としては、コンペ案をかなり尊重した建築になっています。
建築は大小無数のホワイトボックスで構成され、
それぞれをガラス張りの渡り廊下が繋ぐことで、
屋内外にさまざまな独立した展示スペースが生じさせる設計です。

 

ボックスを離散的に配置する計画案の場合、
その外部となる空間の扱いが意味合いの隙間になる可能性があります。
しかし、この建築ではアートが上手くそこに入り込んで、
内外を一体的なものとして扱うことに成功しているように思えます。

建築外部の扱いは、いよいよ重要性の高いものになりましたが、
ここでは、美術館という特性を生かして、
アーティストとのコラボレートに成功しているようです。

また、街にアートを"開く"ということについても、
言葉だけではなく実際にその大きな開口部を取る事で明確に意思を表しています。

かつての建築界では思想や言説と実作とが伴っていないように思えることもあり、
ただ自己肯定の為のこじつけのような建築も見受けられますが、
近年の建築界の風潮では言説や建前よりも即物的な良さが評価されやい土壌となり、
結果的に万人にとって良いデザインが表出しやすくなったと考えます。