INAXの建築家フォーラム 石上純也講演会 3
「ミラノサローネ LEXSUS L-finesse 会場構成」は、
展示空間を霧で満たすという大胆不敵なアプローチで、
距離感や風景を一転させています。
これによって人の動作や佇まいも緩やかで静かなものに変わります。
雰囲気といわれるようなものをワンアイデアで幻想的なものに一転させ、
展示会場であるという特殊性を具現化しているように思えます。
「四角いふうせん」(2007)は、
展示、空間操作そして満たすという発想は、
ミラノサローネの霧に通じるものを感じます。
巨大なアルミの風船を空間に満たして、その浮遊感と素材感によって、
誰も感じたことの無いような不思議な感覚を産出しています。
展示に対する非常に建築家らしいアプローチのように感じました。
「yohji yamamoto New York Gansevoort street store」(2008)は、
建築的な分節を率直に行った作品です。
Y字路の先端に建つ部分をカットアウトしているのですが、
レンガの租積造であることを利用して、これを粒子のよう扱い、
こつこつと積み直していく点に優れた着想が見受けられます。
歴史性や地域性といった都市的な難題に対しする
氏の姿勢が垣間見えたような気がします。
その他、未竣工の住宅プロジェクトが数件あります。
多くの建築家が重要視しながらもなかなか踏み込めずにいる、
自然と建築の閾や間合いを一気に縮めるようなものばかりです。
竣工せずとも建築界にとって一つの方向性を与えるでしょう。
今回の講演会によって、氏の考えていることがより明確に浮き彫りになり、
数年後、数十年後の大建築家の息吹を確かに感じることができました。
これは非常に貴重な体験であろうと思います。

